世界遺産の街 麗江/古城日本人のルーツ?ナシ族の街・麗江を訪ねて<1>

デザイントープの主宰者である黒川雅之さんを団長とした総勢7名で、3月16日~20日まで、中国雲南省の世界文化遺産の街、麗江を訪れました。

今回の旅を案内してくれたのは、麗江周辺に暮らす少数民族ナシ族の文化に詳しい王超鷹さん。王さんはパオスネット上海の責任者として、日中企業のデザイン開発の橋渡しという仕事をしながら、一方で、中国各地の文化、特に文字の研究にも精力的に取り組んでいます。その王さんの最大の研究テーマが、ナシ族のトンパ文化でありトンパ文字なのです。今回の旅は正味3日間という短い期間ながら、王さんという最高の案内人を得たのでした。

麗江は雲南省の北に位置し、四川省とミャンマーにチベットに挟まれたエリア。その歴史は明時代にさかのぼり、西南シルクロードの交易都市として発展したそうです。街はナシ族の聖なる山玉龍雪山に続く渓谷に位置し、街中に清流が流れており、洗濯など水仕事の大切な場となっています。街の周辺、菜の花や早咲きの桜が咲き乱れる風景は、どこか昔の日本の美しい田舎を思わせるのどかなものでした。

麗江の旧市街は「麗江古城」として1996年に世界遺産に登録され、今や一大観光都市としてブレイク寸前といった印象。王さんの話によると「元々交易としとして栄えた麗江の建物は、1階は人々が集うためのオープンスペースであり、住人は2階より上に暮らしていました。今やそのコミュニケーションスペースはお土産物を売る店や観光客相手のカフェやレストランになりました」ということで、雲南省に暮らすさまざまな少数民族の工芸品や料理を楽しめる店舗が軒を連ねています。この小さな街に年間300万人もの観光客が訪れるそうで、新市街地には高層のインターナショナルスタイルのホテルが、大通りの両側に建ち並んでいます。

土産物は布製品、銀や玉に加工を施したアクセサリー、あるいは少数民族たちが使ったアンティーク、雲南名物の雪茶やプーアール茶を売るお茶屋など。布製品は織、染め、刺繍などあらゆる技術があり、その色使いや文様は不思議と南米アンデスに暮らすインカの末裔たちの布製品にも通じるところがあります。私たちの祖先の、アリューシャン列島を渡りユーラシアから北米、そして南米大陸に至る長大な旅の痕跡を見たような気がしました。長い年月を経た今も、美に対するDNAは受け継がれているのでしょうか。

現在の中国は北京、青島、上海、広州など目覚しい発展を遂げる沿岸地域と内陸部である西部地域の経済発展の格差、それにともなう貧富の差という問題が表面化しつつあります。麗江はそんな状況の中で、観光都市として今後目覚しい発展を遂げるに違いありません。ただ、日本人である私たちも世界第2位の経済大国になった反面、失ったものも多かったように、麗江周辺に生きる少数民族の人たちもお金と引き換えに何を失ってしまうのか・・・観光客である自分のことは棚に上げて、心のどこかがチクッと痛むのでした。

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