パリ<1> 2つのTOY展

2007年末、急に思い立って4年ぶりのパリに出かけた。

パリはやっぱり魅力的。先ず、シャルルドゴール空港の建築からして素晴らしい。JALやエールフランスが発着するシャルルドゴール2のFターミナルなんて、下り立ったその瞬間から、この国の美意識と洗練を感じさせてくれる。これで、タクシーでもバスでも電車でも、40分ほどでパリ市内につけるのだからありがたい。それに比べて・・・・・・、日本も観光立国を目指すなら、国際空港の立地や空間デザインをもっと考えてほしいものだ。

さて、いつもだとパリでの自由時間は、展覧会や美術館見学とお買い物が半々なのだが、1ユーロ=167円となると物欲もしぼんでしまう。そこで今回は、外も寒いし、展覧会や美術館を見まくり、フランスの冬の味覚を堪能することにした。

友人と子どものためのトライプラス “http://www.tri-plus.com/” という会社を立ち上げて7年、子ども関係の製品企画、本の編集、雑誌への投稿など仕事もあるので、海外に行った際には情報収集にも気を配る。そこで、何かないかなあとネットで検索したところ、国立装飾芸術美術館とシャイヨー宮内の「建築と文化遺産シテ」で、TOYをテーマとした企画展が開催されていることを知った。

前者は「TOY COMIX」と題した小さな展覧会で、コミック(日本ではマンガやアニメ)のキャラクターがおもちゃ(グッズ)化されて、その結果どんな世界観を生み出しているのかをウインドーディスプレイのような華麗な展示で見せてくれていた。いわゆるメルヘンの世界や日本のオタク文化とは違っていて、ユーモアをたたえながらも美的で、おもちゃをテーマに国立美術館の見世物に仕上がっているところが流石だと思う。

後者は最近リニューアルされた「建築と文化遺産シテ」の付属ギャラリーのようなところが会場だった。「建築と文化シテ」の2階は、20世紀以降の画期的な建築技術と建築作品の博物館になっていて、コルビジェのマルセイユ・ユニテダビタシオンの1分の1の再現をはじめ、さまざまな模型やスケッチが展示してあり、建築好きなら時間を忘れて見入ってしまう内容になっている。これだけきちんとした公営の建築美術館があるところ、やはりフランスの文化政策の篤さを感じさせてくれる。

さて、展覧会は「la villa de mademoiselle B」というタイトルで、10人の女性建築家が、バービー人形のための空間をデザインするというもの。それぞれにおもちゃ箱をひっくりかえしたようなキュートでカラフルな夢の家を提案してくれている。その上、共通の展示ケースにミラーが多用されており、見入っていると空間がぐるぐる回りだすような錯乱状態になり、女の子のカワイイパワーをより一層アップするのに効果的だ。ポップカルチャーの展示が公立美術館で行われるのだから、フランスの文化の幅も広いのですね。このギャラリーの階段室はオレンジとピンクの塗装仕上げです。

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