2.22 クライストチャーチの復興

2011年、東日本大震災の約3週間前に起こったクライストチャーチの大地震。エイヴォン川を中心に広がるニュージーランド第三の都市、イギリス風の歴史的建造物、緑豊かなパブリックパークに恵まれた街の中心部は、今では瓦礫も撤去されて、ほぼ更地になってしまっている。かろうじて残っている建造物も鉄柵で囲われ、侵入禁止。東北の被災地同様、草が生い茂る更地を目前にすると、空っぽな寂しさが迫ってきて立ち尽くしてしまう。けれども、案内してくれたニュージーランドの建築家によると、クライストチャーチの復興では、Christchurch Central Development Unitという組織がつくられ、復興ビジョンや計画が明確に示されているそうだ。興味のある人はhttps://ccdu.govt.nz/をご覧ください。

翌日、別の建築家夫妻が郊外の被災現場を幾つか案内してくれた。日本のメディアでは、中心部の状況しかわからなかったが、周辺部でも崖崩れのために破壊されてしまった住宅や廃校になった小学校、液状化のため暮らすことができなくなった新興住宅地など、災害の規模の大きさを突き付けられた。

こんな悲惨な状況のなか、廃墟と化した街に少しでも彩を添えようというアートやデザインプロジェクトが目についた。それらは情緒的で過剰な表現ではなく、スマートでさりげなく、民主的。平穏な日常ではなかなか実感できないアートやデザインの力を見直す機会にもなった。

DSCN0892クライストチャーチの中心部。至るところ鉄柵で囲われて立ち入り禁止。

DSCN0969 かろうじて残っている建造物にはアーティストによるウォールペインティングが。

DSCN0980クライストチャーチのシンボルだった大聖堂は崩壊寸前。鉄骨で辛うじて立ち続けている。

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メッセージが書き込まれた小石を集めてアートオブジェに。

DSCN0985 殺風景な鉄柵にはカラフルなデザインが。手前は鉄柵にプラスチック製のタイルをはめ込んで、グラフィックを施している。

DSCN0989街の中心地の更地に設けられたカフェエリア。さまざまな形式の仮設のカフェが立ち並ぶ。

DSCN1085崖の上には半分倒壊した住宅が。その下の道にはコンテナーの壁が永遠と続く。

DSCN1109宅地化された新興住宅地は液状化のため廃墟に。窓ガラスが割られ、室内は荒らされて無法地帯に。

2014年4月5日、8日 ©YASUKO SEKI