第14回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展 その1

R0013404

6月4日~、第14回ベネチア・ビエンナーレのプレビューに行ってきた。今回からスタートが3カ月ほど繰り上がって、11月23日まで約半年間に延長された。注目の総合コミッショナーには、近年の建築動向に大きな影響力を発揮するオランダ人建築家、レム・コールハース氏が就任。建築デザインだけでなく、出版や展覧会など幅広い手法で「建築とは何か?」を問い続けている。

今年の総合テーマは「ファンダメンタルズ(根本的なこと)」。まさに「建築とは何か?」を問うもの。だから展示内容も今までとは一変し、作品主義から研究発表会のよう。ある程度全貌を理解するには1日では足りない。メイン会場はジャルディーニとアルセナーレと2カ所あるが、最低でも1日ずつ、2日は予定しておいた方がよい。詳細は、追って、少しづつ紹介できればと思う。

ベネチアは言わずと知れた世界屈指の観光都市。一般的な都市と隔絶したその様相は、ディズニーランドならぬ「ベネチアランド」のようだ。それに加えて、アート、映画、建築などのビエンナーレはベネチアのさらなる重要な観光資源だ。街中がビエンナーレに活気づき、関連イベントが開催されたり、パラッツォがイリュミネーションされたり、まさに祝祭ムードだ。とは言っても、ベネチアにも普通の生活がある。洗濯物のトンネルをこえると、元造船場を活用しているメイン会場の一つアルセナーレだ。

R0013612

水上バスバボレットにもビエンナーレの広告が

R0013206

街全体が観光都市であるベネチアでは、日常生活シーンに出会うことはまれ。

R0013613

グランカナルにはベネチア貴族の宮殿が。

今ではミュージアムとして誰もが訪れることができる。

そして、夏のベネチアでいつも感心するのが、地中海クルーズ船。今回もベネチアの街を凌駕する圧倒的に巨大なクルーズ船が何隻も停泊し、これまた大量の観光客をベネチアランドにいざなっている。⒑階建てのビルに相当するようなクルーズ船が沈みつつあるベネチアに接触したら…ひとたまりもないだろう。そんな気持ちでクルーズ船の移動を眺めながら、現代のテクノロジーが可能とした巨大さ、大量さの行く末を思わずにいられない。建築とは何か?と同時に、現代文明とは何か?に考えさせてくれるベネチアだ。

R0013614

R0013616

巨大なクルーズ船が何隻も通り過ぎる。異様な光景。

phoyos/Yasuko SEKI