カンボジアからうれしいお便り

ロンドンで起きた同時多発テロにすっかり話題を取られてしまったG8サミット主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)ですが、今サミットの主要課題の一つは、アフリカ諸国への支援対策でした。アフリカでは、未だに政情不安な国家が多く、内乱、飢餓、難民、伝染病などなど、悲惨なニュースが伝えられています。そしていつも弱い者――女性や老人、子どもが犠牲になることも・・・。

昨年のちょうど今頃、1冊の写真集の企画編集に携わりました。タイトルは『地球はこどものあそび場だ・・。』 世界文化社より出版され、世界中の優れた遊具を紹介しているボーネルンドが、創立25周年を記念してスポンサードしました。フォトグラファーは、アメリカでジャーナリズムを勉強し、タイム・マガジン社で修行を積んだ中西あゆみさん。彼女はライフワークとして世界中の子どもと遊びをテーマに写真を撮り、取材しています。

この仕事のご相談をいただいてから、たくさんの写真集を見ました。特に子どもをテーマとした写真集です。「子ども」というだけで、私たちは特別な何かを感じます。戦争の悲惨さも、家族の幸福も、生きることの力強さも、愛らしさや弱さも・・・被写体が子どもであると、作り手のメッセージは何倍も大きく膨らんで私たちに伝わってきます。だから、戦争や紛争、テロや飢餓が耐えない今、特にアフリカや発展途上国を背景にした子どもの写真というと、どうしても悲惨さがクローズアップされてしまうのは当たり前です。

けれども、編集作業の中、莫大な量の中西さんの写真を見ながら、私たちは子どもの逞しさと強さを感じ取りました。例えば、カンボジアでは家計を助けるためにゴミ山でゴミ拾いをする子どもたちがいました。ところが彼らはゴミ拾いと家事の合間に、ゴミ山の近くにある小さな原っぱでゴム飛びを楽しんでいる。同じく、カンボジアのキッズ・ケア・カンボジア。ここはエイズに感染した子どもたちの集団生活の場。熱を出して横になっている女の子のそばで食事を摂る子どもたち。おやすみ前のひととき、マットレスの上でデングリ返しをしてはしゃいでいる子どもたち。他にも、貧しい家計を支えるために仕事をしたり、妹弟の面倒を見たり・・・世界中にはなんて多くの逞しい子どもたちがいることでしょう。そして彼らは、自分たちで遊びのルールや道具を作って、寸隙をぬって遊ぶことを楽しんでいる。玩具やTVゲームがなくても、創意工夫で遊びや玩具をデザインし、家事や手伝いさえも遊びに変えてしまうその逞しさには脱帽です。

そして、嬉しい知らせが届きました。取材に協力してくれた子供地球基金を通して、数枚の写真が送られてきました。カンボジアのキッズ・ケア・カンボジアの子どもたちが、写真集を喜んで眺めている写真です。実際に現地で撮影を行った中西さんは、「いつ発病してもおかしくない子どもたち。みんな元気にしているかな」と気にかけています。

久しぶりに開いた『地球はこどものあそび場だ・・。』からは、子どもたちの甲高い歓声が聞こえてくるようです。

写真集詳細は、▼ ボーネルンド子供地球基金

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※写真協力:子供地球基金