サンジェルマン界隈を歩いているとき、同じデザインの自転車が10数台並んでいる光景に出会った。街中でも同じデザインの自転車に乗っている人を何人も見かけた。詳しいことは何も知らなかったが、ひょっとすると公共レンタサイクルシステムなのかな?と気になって写真だけを撮っておいた。
戻ってから検索してみると、昨年夏からパリ市が取り入れた「Velib’(ヴェリブ)」というレンタサイクルシステムあることが分かった。語源はフランス語で「velo(ヴェロ)=自転車」と「liberte(リベルテ)=自由」を合成しもので、自転車でパリを自由に動き回ろうよ、という目的なのだそうだ。使用するには加入料と使用料が必要だそうだが、大都市では駐輪のスペースも限られているし、こうした公共のレンタシステムがあるとありがたい。パリ市のこの取り組みは、環境対策としても興味深いが、デザインという視点で見るならば、物の価値が所有から使用に変わりつつある事を示唆している。
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もうひとつ、パリリヨン駅近くあった鉄道の高架橋が市民憩いの散歩道とアートショップ街にコンバージョンされたという情報を聞きつけで出かけてみた。「ビアデュック・デザール」というらしく、高架橋の上部は植栽されて散歩道になっている。ウィークデイの午前中にも関わらず、ジョギングや犬の散歩を楽しむ人、通勤のため早足で通り過ぎる人など、結構活用されている。散歩道のアクセスも隣接するアパートの階段を共有するなどの工夫が凝らされていて、多数設けられている。下階は高架橋のアーチスペースを利用して、アーティストや職人のアトリエ、ショップになっている。正直、ショップには目ぼしいものがなかったけれど、都市にまっすぐ伸びる空中庭園はなかなか興味深い。
パリ2に「古きよきモノを残しながら、新しさへのチャレンジを忘れない行動力が、世界中から観光客を惹きつける原動力になっているのだ」と書いたが、美術館や劇場といった目立つところだけなく、こうした地味な部分にも新しいアイデアを取り込むパリは、やはり1年に1度は訪れたい街である。