伊東豊雄さんが4年前に始めた伊東建築塾。その活動の柱の一本が子ども建築塾だ。小学高学年を中心とした子どもたち20数名が、伊東塾長をはじめ、東大教授の村松伸さん、同じく東大講師太田浩史さんさん、東大博士課程の田口純子さんといった先生方の指導の下、いろいろな空間を体験し、建築的思考を学ぶための場。そんな塾の軌跡を1冊にまとめた『伊東豊雄 子ども建築塾』(LIXIL出版)が刊行された。表紙でドカーンとほほ笑む伊東さんのイラストは小学5年生(当時)の塾生が描いたもの。
私は子ども子ども関係の仕事もしていることから、オブザーバーというかたちで塾が始まって以来、卒業発表会や町調査に参加させていただいていた。そんな経緯もあって、本書では伊東さんへのインタビューアを務めさせていただいた。インタビューの中で伊東さんは「今の日本では個人の感受性を育むことはしないで、凡庸な均質主義に陥ってしまっている。このような社会では議論も起こらないし、新しいものを生み出すエネルギーも出てこない。僕はこの状態を何とかしないと、と考えていて、子どもの直観力はその突破口になるんじゃないかと思っています。・・・」と語っておられる。子育てに疑問を感じている方はもちろん、子どもって何、学ぶって何???と感じている方にぜひ読んでいただきたい一冊です。
LIXIL出版 ¥2,300+税