『超感性経営』の著書の渡邊英夫さんは、当サイト「デザイントープ」とも関係の深い、物学研究会のディレクターを務めたデザイン界の重鎮だった。そして、1970~90年代初頭にかけてソニーデザインがもっとも輝いていた時代に、「Mr.ウォーマン」として知られた黒木靖夫さんと両輪体制で、ソニーデザインの基礎をつくった名デザインマネージャーでもあった。
その渡邊さんは、まさに本書の編集作業に取りかかった矢先、すい臓がんとの闘病生活に入り、本の完成を見ることなく昨年秋にお亡くなりになった。けれども、渡邊さんの遺志を継いで、多くの人たちの惜しみない支援と協力をもって、渡邊流デザインマネジメントのメソッドが凝縮し、『超感性経営』は完成した。
タイトルは、渡邊さんが生前に記していた本書の準備メモにあった「タイトル=感性経営」をそのまま採用させていただいた。「感性」という言葉は、デザインやアートといったクリエイティブな世界では、ある種の「危うさ」を含んでいる。下手をすると、「上っ面の表層的な感性」と受け取られてしまうからだ。しかし、渡邊さんが表現したかった感性とは、本書の副タイトルでもある「目利力、予測力、説得力」であり、幅広い知識と深い洞察なしには得ることのできない感覚を意味している。本書は、どんなビジネスやプロジェクトにも欠かすことのできない「目利力、予測力、説得力」の体得のメソッドを、「デザインマネジメント」という実践を通して具体的に語っている。
渡邊さんが、ソニーのデザインマネジャーを務めていたのは、ソニーデザインがもっとも輝いていた時代。デザインが製品に感動と魅力をもたらせると信じることのできた時代だ。
本書には「20年前のお話だから・・・」とは言い切れない、デザインという領域を超えて、あらゆるビジネスやプロジェクトに応用することのできるマネジメントの本質が語られている。
【関連サイト】
本書購入をご希望の方は▶http://www.knowledgex.co.jp/watanabe/