日本一美しい島、大三島の美術館

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伊東建築塾の企画にのって友人3人といざ四国の今治へ。日本屈指の絶景しまなみ海道沿いの大三島で、伊東豊雄建築ミュージアム、岩田健母と子のミュージアムなどを訪ねた。前日7月26日は、丹下健三設計の今治市民会館で開かれた日本文化研究家のアレックス・カーさんと伊東さんのセッションに参加。アレックスさんが長年取り組んでいる日本の民家や風景の再生プロジェクトや、伊東さんの大三島への想いを伺っていたせいか、いろいろな視点から島を見ることができた。

大三島は全国の三島神社の総本社の山祇神社(大山祇神社)があって観光客も多いらしい。最近では、伊東建築ミュージアムなど瀬戸内の自然と調和した小規模な美術館もオープンし、しまなみルートの重要な観光島になっているようだ。昔は、この辺りは瀬戸内の海賊や水軍の拠点も多く比較的裕福だったのだろう、どの家も瓦葺の屋根の立派な建物で、村の佇まいも美しい。開館3年目を迎えた伊東豊雄建築ミュージアムでは、現在「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト」が進行していて、メンバーによる島のリサーチ結果がパネルや模型、映像でプレゼンされていて見ごたえがある。さらに、宗方地区の浜辺の近くにある岩田健母と子のミュージアム(伊東さんの設計)は、ただ円形の壁だけというシンプルなコンセプトながら、、岩田さんの彫刻はもちろんのこと大三島の美しさをしみじみと鑑賞させてくれる額縁のような建物で、建築というよりも大きな環境彫刻のようだ。自然に寄り添った感じがいい。

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DSCN1419伊東豊雄建築ミュージアム展示 上 岩田健母と子のミュージアム 下

今治を後にした私たちは友人お勧めの高知のオーベルジュに向かった。高知市内から谷川に沿って山道を40分ばかり進むと、都会人にとってはショッキングな光景が飛び込んできた。それは谷川に今にも崩れ落ちそうな家屋群。そして廃線になってしまったバス停の看板。これを限界集落というのだろうか? 人の気配はない。このような山奥でバスも通らなければ、どうやって生活していくのだろうか? 病気になったら? 台風が直撃したら? 総務省が7月29日に発表した空家率の全国平均は13.5%。アレックスさんの取り組み、伊東さんの大三島プロジェクト、そして全国的な限界集落問題・・・・・・新築至上主義だった日本の土木や建築の在り方も大きな岐路を迎えている・・・。

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・・・と少しまじめなことを考えていたら、友人が高知市内の「ひろめ市場」に連れて行ってくれた。昼間からカツオのたたきをつまみに、陽気にビールや酒を楽しむ人々。彼らに混ざって、こちらも乾杯!! たった3日間だったけれど、1週間にも感じれる充実した旅だった。

 

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DSCN1459ひろめ市場、日本的フードコート?

現在8月4日、四国地方は台風の影響で1000ミリ近い豪雨に見舞われたと報道されている。あの谷川沿いにあった限界集落はどうなっているのだろうか? 大雨のために道が寸断され、孤立してしまっている人々や村も多いだろう。一刻も早い天候の回復を祈るばかりだ。

 

Photos/YASUKO SEKI