クライストチャーチ復興の兆し

瓦礫も撤去され、殺風景になってしまったクライストチャーチの中心部。以前は大聖堂を中心に行政、商業施設、ホテル、文化施設、レストランやカフェが建ち並び、トラムが縦横無尽に街を結び、エイヴォン川のほとりを散策したり、緑豊かな広大な公園でスポーツやピクニックを楽しめる、ヒューマンスケールの理想的な街であったに違いない。圧倒的な規模で広がる地震跡地だが、少しずつ確実に街が息を吹き返していることを実感できるプロジェクトに出会う。同時に(前回も書いたが)、カジュアルで、リベラルな感性、そしてスマートで明るく、過不足のないデザイン感覚にすがすがしさを感じる。このような非常事態にこそ、アートやデザインが人々に希望を与え、復興をバックアップする力になっていることを実感できる。

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クライストチャーチの復興シンボルでもあるリ・スタート。貨物用コンテナを上手に利用したカフェやショップが軒を連ねる。植栽もふんだんに取り込み、市民の憩いの場になっている。イエロー、グリーン、レッドなど鮮やかな色を多用し、元気の出る空間に。

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坂茂さん設計の仮設大聖堂の夜景。

 

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COMMON GROUND という広場には、青にペイントされた運搬用パレットで組み建てられたカフェを中心に、たこ焼きなど、地震前に中心部にあったカフェなどが集結。タイトル通り、誰もが参加できるCOMMONという感覚が溢れている。

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上:イギリス風の街並みだったニュー・レジェンド・ストリートも復興されて、活気を取り戻した。現在、中心部と周辺の公園を行き来するトラムが一部開通し、人気を集めている。幅8メートルほどの道にトラムが行き来する。日本では考えられない風景。下:トラムのターミナル。

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皮加工業を中心としたかつてのインダストリーエリアを商業施設にリニューアルしたTHE TANNERY。いくつもの工場跡地を、シャーロック・ホームズが登場しそうな英国風のアーケードに改装。地元のデザイナーやアーティストがショップを構えている。

©YASUKO SEKI